プロボノを活用した「市民活動サポート体制構築事業」

概要

 長崎県内にあるNPO法人は400を超える。その多くは人材不足という悩みを抱えている。NPOの目的を達成するためには、いろいろな場面で専門的な知識を持ったスタッフが必要となるケースがあるが、これらを内部で確保することは非常に難しい。

 こういったNPOと専門家をマッチングし、サポートする仕組みが「プロボノ」である。

専門知識を活用したボランティア活動

「公共善のために」を意味するラテン語「pro bono publico」を語源とする意味で、「社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや 専門的知識を活かしたボランティア活動」と位置付けられている。

 

 NPOが抱える専門的人材不足という課題を、プロボノを活用する体制(仕組み)を構築する事によって、NPOの自立や活性化を促し、NPOが「新しい公共」の担い手となることを目指し、支援する事業である。

 

 障がい者の授産施設を運営するNPO法人 障害児・者フリースペースの会遊歩は2012年にこのプロボノを利用した。

 

「私たちは障がい者の福祉については専門だが、販売・広報・商品開発などについては素人。こういった点で専門家の客観的なアドバイスを得られるのは非常にありがたい。」

2013年3月23日に開催されたながさきプロボノ・フェアでは遊歩の三浦氏はこのように発表した。

 

「プロボノを利用することで、多くの出会いの機会を得たことも大きかった。」また障がい者と一般の方との垣根をなくすという目的にも役立った。

長崎初のプロボノの仕組みは早くも成果を出しつつある。

遊歩の会 三浦宏氏
遊歩の会 三浦宏氏

長崎発のプロボノ事業のスキーム

 事業実施団体であるながさきプロボノ協議会は、NPO法人 NPOながさき、NPO法人 新現役の会長崎センターと長崎市の3組織で構成される。

 

 協議会には、デザインウエブ製作・経理・マネジメント・イベント支援などのスキルやノウハウを持った社会人がプロボノワーカーとして登録し、NPOの支援に当たる。事業の流れは次の通りである。

ながさきプロボノ・フェアの様子
ながさきプロボノ・フェアの様子

 1 プロボノセミナーを開催しプロボノに関する啓発を行う
 2 プロボノワーカー説明会を開催し、専門家の参加を促す

 3 人材を求めるNPO法人とプロボノワーカーとのマッチングイベント開催

 4 コーディネーター育成講座を開催し、連携を担当する人材を育成

 5 サポート事業スタート

 

 最終的にプロボノワーカー数名からなるプロジェクトチームを編成し、約6ヵ月間のプロセスを経て具体的な提供物を通じてNPOの活動を応援する。

  支援されるNPOだけでなく、専門家であるプロボノワーカーにとっても「自らのスキルが人や社会に役立っていることが実感できる」「実践的な経験を積むことで自身の専門能力やスキルを高めることができる」「異業種や業界の方との交流も図れる」などのメリットがある。

ながさきプロボノ・フェアの様子
ながさきプロボノ・フェアの様子

NPOながさき

 NPOながさきは長崎のNPOを支援する中間支援NPOである。

 長崎市・島原市・佐世保市・五島市に支部があり、税理士・社労士・司法書士などの専門家が多く活躍している。NPO法人やコミュニティビジネスについてのさまざまな相談・助言等を行っている。

 

 もともとは地方自治体等の公益会計を研究するために税理士仲間で発足した「長崎公益法人研究会」がはじまりだった。ひと通りの勉強を終えて得た知識を今後何に活かしていくかメンバーで話し合った。ここで「社会活動に活かしたい」という意見が多数出て、NPO活動へと移行していった。

 

 「何を優先するかという生き方の問題だから。」川崎氏は話す。

 当時から中間支援的な仕組みというのはNPOにとっても、自治体にとっても必要だろうと考えていた。ただし「NPOながさき」は一般の中間支援組織と異なり、専門的な部分での支援に特化している。

 

 こういった活動から発展し、プロボノへと進んできた。「NPOながさき」に参加している専門家は19人。全ての専門領域をカバーできないし、人員も足りない。それなら、外部の専門的な知識を持つ人とNPOをマッチングさせることでより幅広い支援ができるようになる。

 

 「単純なマッチングではありませんよ。プロボノでは、マッチングの機会も設けますが、事務局が主体的に支援をマネジメントします。それによってプロボノワーカーの負担も少なく、スムーズに支援ができます。」川崎氏は事務局の役割が重要であることを強調した。

 

 新しい公共において、NPOが果たす役割が重要性を増していく。その中で中間支援NPOとして新しい取り組みを開始した「NPOながさき」。事業終了後は認定NPO法人を目指し、より体制を堅固なものにする計画だという。

参考

NPOながさきWEBサイト http://www.npo-nagasaki.jp/

長崎プロボノ協議会 http://www.npo-nagasaki.jp/html/probono.html