健康・体力づくりを支援するコミュニティースポーツクラブ育成モデル事業

概要

 長崎大学医学部保健学科の中垣内博士は中高年者の体力学の研究を専門としている。こうした大学での研究成果をスポーツプログラムとして地域に還元するときに受益者負担で一定の料金を取るなどの活動は大学としてはやりにくかった。

 こうしたことから、2012年1月にNPO法人「長崎ウェルネススポーツ研究センター」を立ちあげ、活動を開始した。

スクエアステップ

 中垣内博士が研究している分野は中高年者の「体力学」である。体力トレーニングの方法を模索している。どうやったら筋力や持久力を伸ばせるかという事がテーマだが、高齢者になれば運動・トレーニングの強度や頻度も異なってくる。

そうした中で開発されてきた「スクエアステップ」という運動がある。

 

「ケンケンパーをイメージするといいかも知れません。」

マス目があるマットを使った運動で、ある決まったパターンでステップを踏んでいく。筑波大学・三重大学・長崎大学で認知機能の改善や転倒防止に効く運動を研究して作った運動であり、現在ではステップパターンも200を超え、初級から上級までの段階がある。

 

 もともとは高齢者の運動を想定してつくったプログラムだが、現在では子供向けの運動、中高年向けのダイエット向けにも改良ができた。本事業はこういった運動を地域住民に普及し、県民の健康増進に寄与することを目標としている。

スクエアステップの様子
スクエアステップの様子

地域への還元

 長崎県県民スポーツ課、教育委員会などと連携しながら、地域の人が自主的に運営する総合型地域スポーツクラブを立ち上げようとしている。長崎県内には23市町全部でそのようなクラブがある。「長崎ウェルネススポーツ研究センター」の役割はそういったクラブにノウハウを提供し、支援することだ。

 

 高齢者の運動には福祉関係、若者・学生の運動には教育委員会、と同じ運動プログラムを実践するのにも行政の縦割りの弊害でうまく機能しない事がある。そうした問題を解決するために、上五島・波佐見では地域包括支援センターと地域スポーツセンターを引きあわせて、運動ができるコミュニテイを形成する事業のマネジメントもしている。

 

 上五島の事例では行政側からアプローチがあり、協働事業が開始された。この事例では行政側にも問題意識があり、共通の目標が持てたため協働がうまく機能し、成果を出しつつある。

中央:中垣内氏
中央:中垣内氏

大学から地域へ

 一時期、大学発ベンチャーというのが流行った。収益事業であれば起業することも可能であるが、収益が期待できない事業の場合そうもいかない。

 福祉・啓発・社会活動型のスピンオフ事例としてNPO法人を設立するモデルが「長崎ウェルネススポーツ研究センター」である。長崎県内の各地域、さまざまな行政機関や大学と連携しながらNPOの果たす役割の重要性を感じさせる事例である。

長崎大学 中垣内研究室 http://www.wellness-sport.org/nponews2.html